最終更新日:2024/11/24
EC通販業務には様々な工程がありますが、その中でも重要な役割を担うのが物流業務です。物流業務では、配送はもちろん、在庫管理や入庫管理の作業も行わなければならないのでネットショップ運営者様にとっては手間のかかる業務になります。
そこで、手間を減らし、物流業務を効率化させるサービスがEC物流倉庫になります。業務を自動化することで、作業負担の軽減や効率化を図ることが可能になります。
今回は、EC物流倉庫の種類や特徴についてご紹介致します。
目次
EC物流倉庫とは、EC通販に特化した物流倉庫になります。EC通販は toC 向けのビジネスになるので、EC物流倉庫は個人への出荷が大半です。自社で物流倉庫を保有しているネットショップ運営者様もいますが、最近では倉庫を保有している会社に預ける、といった形で管理している運営者様も増えています。
EC物流倉庫の特徴は主に4つあります。
①迅速な対応
EC物流倉庫は、入荷から保管、出荷までのフローが迅速であることが特徴です。受注から発送までの時間を短縮するために、以下のような対策を実施しています。
②多品種小ロットでの在庫管理
EC事業では、多品種、また小ロットでの出荷が多いと言われています。EC物流倉庫では、在庫管理が難しい「多品種小ロット」でもきちんと正確に在庫管理ができる仕組みになっている場所が多く、誤出荷や商品の紛失などのリスクを最小限に抑えることができます。
③柔軟な流通加工対応
EC物流倉庫では、様々なニーズに合わせた流通加工も行っています。流通加工とは、生産者から消費者に届くまでの間に発生する商品加工のことを指します。例えば、タグ付け、検品、ラベル貼り、セット組みから、チラシやメッセージカード試供品の同封、プレゼント用のラッピングなど、様々な加工を行います。
④アフターフォロー対応
EC物流倉庫の中には、顧客からの問い合わせ対応もサービスに含んでいるものもあります。そのような倉庫であれば、スムーズに問い合わせに対応することができるので、顧客満足度が高まり、リピートの可能性が高くなります。
EC物流倉庫を利用するメリットは主に3つあります。
物流倉庫を選ぶポイントは3つあります。
☆倉庫の立地
1つ目のポイントは、物流倉庫の立地です。立地は、運用の利便性に大きく作用する要素の1つです。立地によって商品の納品にかかる時間や発送する際のリードタイムが変化するので、全国規模の配送が多い場合は、東西に拠点がある、また複数拠点を持っている倉庫を選ぶのがオススメです。
☆サービス内容
2つ目のポイントは、サービス内容です。委託したい業務がその物流倉庫でカバーできるのかどうかを確認しましょう。サービス内容、料金、スピード感、対応可能な出荷量は倉庫によって異なります。また、化粧品や医薬部外品等の流通加工が必要な場合は、倉庫の作業員が免許を取得している必要があります。
☆システムの連携
3つ目のポイントは、システム連携のし易さです。自社のECサイトと、在庫管理システムの連携ができるかどうかの確認が必須です。運用開始後に、連携できていない等のトラブルにならないよう、運用開始前に問い合わせをして事前に把握しておきましょう。
現在GoQSystemで連携可能なEC物流倉庫は以下になります。
それぞれのEC物流倉庫の特徴をご紹介致します。
楽天スーパーロジスティクス(RSL)は、楽天市場に出店中の店舗が利用可能な物流アウトソーシングサービスになります。商品の入荷、管理、発送等の物流業務を委託可能です。楽天スーパーロジスティクス(RSL)は、AmazonやYahoo!ショッピングなどの他モールで注文された商品の配送にも対応、また同一料金での配送ができます。作業品質も、業界トップレベルを誇ります。
こんな人にオススメ!
☆楽天を主軸として出品をされている方、また楽天スーパーロジスティクス(RSL)では他モール配送時でも梱包・配送料金が自モール配送時と変わらないため、複数ECモールを運営されており、他モール配送が比較的多い方にオススメです
FBA(フルフィルメント by Amazon)を利用することで、商品の保管から発送までをAmazonが代行してくれるので、業務負担がかなり軽減されます。また、FBAから出品した商品には「primeマーク」が付きます。primeマークがついている商品には、お急ぎ便や日時指定便が無料で指定できるので、購入の決め手にもなりやすいです。そして、決済方法に代引引換を追加することができるのもFBAの特徴です。
こんな人にオススメ
☆Amazonを主軸として出品している方、またFBAでは、お客様からの返品・問い合わせに対応しているので、カスタマーサポートを重視される方はFBAがオススメです
FBAマルチチャネルサービスは、FBA(フルフィルメント by Amazon)のサービスの1つになります。Amazonからの注文にはFBAを、他のECサイトからの注文にはマルチチャネルサービスの利用を依頼します。マルチチャネルサービスは、Amazon以外で他のECサイトに出品している場合、Amazonと同じ販路を利用することができるサービスになります。他のECサイトの注文に対しても、代引やお急ぎ便が適用可能です。
こんな人にオススメ!
☆FBAを利用しており、他のECサイトからの注文に対してもAmazonと同じFBA出荷をしたいという店舗様にオススメです
※2025年2月20日(木)をもってサービス終了となります
ヤマト運輸が提供しているフルフィルメントサービスでは、初期費用、また月額料金が無料なので、気軽に申し込むことができます。ご利用の際はYahoo!ショッピングのストア登録が必須になります。ヤマトフルフィルメントを利用している店舗には、Yahoo!ショッピング内で優良配送の店舗として認定されるので、それによって検索結果に上位表示されやすくなり、商品ページへのアクセス増加、売上アップにも繋がります。
こんな人にオススメ!
☆Yahoo!ショッピングを主軸に出品しており、コストや配送スピードの速さを求める方にオススメです
ロジザードZEROは、クラウドWMS(倉庫管理システム)になります。物流倉庫、バックヤードの実在庫、またどこに何が何個あり、どんな状態なのか、を正確に管理したい方に使っていただけるシステムになります。導入をする際も、最短1ヶ月と、スピーディーに導入する事ができます。また様々な言語にも対応しているので、海外でのビジネスを考える方にご利用いただけるのも特徴です。
こんな人にオススメ!
☆自社倉庫をお持ちの方、またハンディターミナルを用いて倉庫内の在庫を正確に管理・把握したい方にオススメです
オープンロジは、EC向けの物流アウトソーシングサービスになります。最大の特徴は、全ての業務をオンラインで完結することができ、パソコンやスマホから作業を指示・確認が可能である、ということです。また、オープンロジは倉庫ネットワークを展開しているので、倉庫を拡張したい場合にすぐに提携倉庫の手配をし、サービスの質を落とすことなく複数の倉庫を管理することができます。幅広いニーズに合わせた物流サービスも魅力の1つです。
こんな人にオススメ!
☆希望条件に合った倉庫を利用したい、倉庫を拡張したい、という方、また発送ルールを独自にカスタマイズされたいという方にオススメです
倉庫を利用する際に【出荷作業量+配送料+保管料】が主にかかる費用となります。
※各倉庫により計算方法が異なるため、あくまでも目安となっております
※下記を参考にしています
>>RSLの料金について
>>FBA料金シュミレーター
>>ヤマトフルフィルメントの料金について
RSLの在庫保管料は、商品の大きさや保管日数によって変動します。
計算式は下記となります。
7.5(円/月/PCS)×商品体積(㎤)÷ 1000 × 保管日数(日/月)÷ 当月の日数(日/月)
【例】
商品サイズ:60サイズ(20✕27✕13)
保管期間:1ヶ月
楽天スーパーロジティクス(RSL)の在庫保管料:約53円(税抜き)
→7.5✕7020÷1000✕31÷31=52.65
※詳細についてはこちらをご参照ください。
>>RSLの料金について
FBAの在庫保管料は、商品体積、重量、商品カテゴリー、また時期によって変動します。計算式は以下となります(税込)。
【例】
(保管月が1月~9月の場合)
商品ジャンル:服
商品サイズ:60サイズ(小型/標準)
保管期間:1ヶ月
フルフィルメント by Amazon(FBA)の在庫保管料:約36円(税抜き)
→5.676✕7020÷1000✕31÷31=39.84552
→36.2232(税抜き)を四捨五入で計算
(保管月が10~12月の場合)
商品ジャンル:服
商品サイズ:60サイズ(小型/標準)
保管期間:1ヶ月
フルフィルメント by Amazon(FBA)の在庫保管料:約64円(税抜き)
→10.087✕7020÷1000✕31÷31=70.81074
→64.3734(税抜き)を四捨五入で計算
保管している月 | 服&ファッション小物、シューズ&バッグ以外の商品 (小型/標準) | 服&ファッション小物、シューズ&バッグ以外の商品 (大型/特大型) | 服&ファッション小物、シューズ&バッグの商品 (すべてのサイズ) |
1月~9月 | 5.676円 ✕【商品サイズ(c㎥)】/(10cm✕10cm✕10cm) ✕【保管日数】/【当月の日数】 | 4.370円 ✕【商品サイズ(c㎥)】/(10cm✕10cm✕10cm) ✕【保管日数】/【当月の日数】 | 3.10円 ✕【商品サイズ(c㎥)】/(10cm✕10cm✕10cm) ✕【保管日数】/【当月の日数】 |
10月~12月 | 10.087円 ✕【商品サイズ(c㎥)】/(10cm✕10cm✕10cm) ✕【保管日数】/【当月の日数】 | 7.760円 ✕【商品サイズ(c㎥)】/(10cm✕10cm✕10cm) ✕【保管日数】/【当月の日数】 | 5.50円 ✕【商品サイズ(c㎥)】/(10cm✕10cm✕10cm) ✕【保管日数】/【当月の日数】 |
※料金シュミレーターでのお見積りも可能です。
>>FBA料金シュミレーター
※2025年2月20日(木)をもってサービス終了となります
ヤマトフルフィルメントの在庫保管料は、入庫時の商品サイズに基づいて計算されます。
在庫保管料金は以下になります。
投函型 | 宅配便・EASY | 宅配便・EASY | 宅配便・EASY | 宅配便・EASY | 宅配便・EASY | 宅配便・EASY | 宅配便・EASY | 宅配便・EASY |
ネコポス | 60サイズ | 80サイズ | 100サイズ | 120サイズ | 140サイズ | 160サイズ | 180サイズ | 200サイズ |
0.3円 税込0.33円 | 1.5円 税込1.65円 | 2.3円 税込2.53円 | 6.2円 税込6.82円 | 7.2円 税込7.92円 | 15.8円 税込17.38円 | 24.9円 税込27.39円 | 30.5円 税込33.55円 | 39.7円 税込43.67円 |
※詳細についてはこちらをご参照ください。
ヤマトフルフィルメントの料金について
梱包・配送代行料を比較した表は以下になります。RSL以外は自モール配送時と他モール配送時で料金が異なります。
※楽天(RSL)は、梱包・配送代行料が「出荷作業費」と「配送料」に分かれているため、それぞれの料金を合算したものが梱包・配送代行料になります。
※税抜きで表示
※各倉庫により計算方法が異なるため、目安となっております
【自モール配送時】2024/01/22時点
自モール配送時 | 楽天(RSL) | FBA | ヤマトフルフィル |
メール便 (25✕18✕2) | 230円 (出荷作業費50円+配送費180円) | 288円 | 209円 |
60サイズ (20✕27✕13) | 460円 (80円+380円) | 485円 | 382円 |
80サイズ (27✕38✕15) | 460円 (80円+380円) | 514円 | 424円 |
100サイズ (27✕38✕35) | 460円 (80円+380円) | 603円 | 459円 |
120サイズ (38✕53✕29) | 600円 (100円+500円) | 975円 | 598円 |
140サイズ (40✕60✕40) | 1,050円 (200円+850円) | 1,020円 | 925円 |
160サイズ (54✕76✕25) | 1,050円 (200円+850円) | 1,100円 | 998円 |
180サイズ (59✕67✕51) | 対応なし | 1,532円 | 1,526円 |
200サイズ (52✕56✕85) | 対応なし | 1,756円 | 1,732円 |
【他モール配送時】
他モール配送時 | 楽天(RSL) | ヤマトフルフィル |
メール便 (25✕18✕2) | 230円 (50円+180円) | 230円 |
60サイズ (20✕27✕13) | 460円 (80円+380円) | 500円 |
80サイズ (27✕38✕15) | 460円 (80円+380円) | 560円 |
100サイズ (27✕38✕35) | 460円 (80円+380円) | 600円 |
120サイズ (38✕53✕29) | 600円 (100円+500円) | 700円 |
140サイズ (40✕60✕40) | 1,050円 (200円+850円) | 940円 |
160サイズ (54✕76✕25) | 1,050円 (200円+850円) | 1,000円 |
180サイズ (59✕67✕51) | 対応なし | 1,648円 |
200サイズ (52✕56✕85) | 対応なし | 1,818円 |
※FBAでの他モール配送は、FBAマルチチャネルサービスの利用が必須になります。FBAマルチチャネルサービスの梱包・配送代行手数料に関しましては、こちらからご確認ください。
>>マルチチャネルサービス出荷依頼の配送代行手数料
ロジザードZERO
ロジザードZEROの料金プランの内訳としては、初期費用、月額費用、連携・機能オプション、開発・プランの4つの項目になります。
それぞれ詳しい金額は記載されていないので、ご利用をお考えの際にはお問い合わせが必要になります。
>>ロジザードZEROの料金形態について
オープンロジ
オープンロジの料金形態は、初期費用・固定費 + 入庫保管費・配送料金となります。
初期費用・固定費は無料で、入庫保管費・配送料金は従量課金制となります。
こちらについても、詳細な金額は記載されていないので、ご利用をお考えの際にはお問い合わせが必要になります。
>>オープンロジの料金形態について
楽天ロジスティクス(RSL)、FBA、ヤマトフルフィルメントサービスの3つのフルフィルメントをサービス項目ごとに比較したものが下記になります。
◯・・・標準対応 ✕・・・対応不可 ☆・・・オプションにて対応
項目 | 楽天(RSL) | FBA | ヤマトフルフィルメント |
---|---|---|---|
返品・問い合わせの顧客対応 | ✕ | ◯ | ✕ |
消費期限管理 | ☆ | ◯ | ☆ |
海外出荷 | ☆ | ◯ | ✕ |
ギフトラッピング | ☆ | ☆ | ☆ |
同梱物封入 | ☆ | ✕ | ✕ |
保管場所(倉庫・保管拠点) | 6箇所 | 24箇所 | 110箇所 |
今回は、GoQsystemと連携可能なEC物流倉庫の特徴やサービス内容等について解説しました。
EC物流倉庫はEC通販に特化したアウトソーシング可能な物流倉庫で、顧客満足度向上や物流コスト削減、自社ブランドのイメージアップに貢献します。各サービスに特徴や強みがあり、自社の状況や求める内容に合った最適なサービスを選ぶ必要があります。
流通業務の委託により、物流の知識が豊富なプロに業務を一任でき、自社での物流倉庫の所持・運用が不要になります。これは特に物流ノウハウが不足している事業者や、倉庫業務が事業拡大の妨げとなる場合に有益です。
また、急激な出荷数の増加に対処できずに生じるリスクを軽減します。
倉庫業務のアウトソーシングは事業の効率向上とリスクヘッジにもなりますので、この機会にEC物流倉庫の導入を考えてみてはいかがでしょうか。
・【楽天ロジ】BOSSシステム出荷データ出力方法、送り状番号取込方法
・【ヤマトフルフィルメント】連携設定、出荷依頼をかける方法